普段きものとハンドクラフト和ゴコロくらぶは、和裁と普段着のきものをご家庭の日常風景に取り戻すべく、わたくし下村が若き日に学んだ和裁の技ときものの着付けをお伝えするための活動全般を称するための名前です。


はじめは、和装のための髪飾りを作っていました。
大正ロマンな女学生をイメージした大きなリボンの髪飾り。
きものの布を使って作ったアートフラワーの髪飾り。
つまみ細工の髪飾りに樹脂粘土やディップアートの髪飾り。
ビーズやワイヤーも素敵な髪飾りの素材になります。

子供が生まれ、幼児クラブなどに入ると手作りの品物をバザーなどに出すこともあって、身近なママ友達に作り方を教えることも増えました。機会をいただいて、カルチャー教室の講師をはじめ、ちりめん細工やつまみ細工の講座を開講しました。

まだ当時は「和裁」や「着物の仕立て方」の講座についてのご要望がなかったのです。
ちりめん細工の講座講師やイベント出展の際には、ほぼ和服で向いました。
当時はそうした日常(イベント出展者は非日常かも?)の中の着物姿は、とてもとても珍しいことだったのです。イベント設営にたすき掛けでテントを張り、ブーツで闊歩するわたくしは、たいへん珍奇なものであったようです。

現在では、和洋折衷な着こなしも認知され、さらにどんどん進化しています。
そんなコーディネートは若者のもの、と思われていますか?
かつて日常着であったきもの、老若男女、みな着ていたのです。現代のように洋装が一般的になるまでの間には、日常着が和洋折衷になっていたこともあるでしょう。
セーターとスカートにハンテン羽織って下駄をつっかけて新聞を取りに行く、なんて、懐かしい感じではありませんか?
昭和後期にも残っていたワンマイルスタイルです。

そしてその頃はまだ、浴衣やハンテンを家でおばあちゃんやお母さんが仕立てるということが(すべての家庭ではないにせよ、一部では)行われていたのです。
ですから、カケハリやクケ台、つのべらなど和裁の道具もわりと身近にありました。当時は、小学校高学年で用意するお裁縫セットに、カケハリやクケ台が入っていたのですから。あなたはみたことがありますか?

和裁の道具だけでなく、針や糸でさえ、ご家庭になくても済むようになってしまいました。それはいいことなのかもしれません。が、ボタンが取れてしまっただけで、破れても傷んでもいないシャツを買い替えることは、循環型社会(サステナビリテイ)を考える面でも、もったいないのではないでしょうか。取れてしまったボタンを縫い付けるという、本当にちょっとした針仕事で、また着ることができるのです。

そんなちょっとした針仕事のシーンをご家庭に取り戻すために、和ゴコロくらぶをはじめました。

始まりは、小さなお細工物から。
針と糸を使って手で「縫う」こと。
そこから、手縫いの技を残していくことにつながり
そして、手縫いの技の結晶である「きもの」を見る目を育てたい。
そんな思いが、和ゴコロくらぶの根源なのです。

「きもの」は着るもの、「衣服」です。
だから、和ゴコロくらぶは、きものを着る方法もお伝えします。

楽しく気持ちよく着ることで、実は、仕立ての良しあしも如実に「わかって」しまいます。
また、お細工物に使うために古い着物をほどくこともあります。仕立てあがっている着物をほどくと、縫い方にもいろいろな方法があることがわかります。
さまざまな方向から「わかる人」を増やしていきたいのです。
和ゴコロくらぶは、その活動を通して、きものと和裁の未来を考えます。

どうぞよろしくお付き合いください。

普段きものとハンドクラフト
和ゴコロくらぶ
下村康子